在る日のこと

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「家?」 コウセイショウショとやらを持ってきた堅物は いかにもな眼鏡をかけた六法全書、いや弁護士 初めてオメニカカリマス 初対面の弁護士が、 私が二十歳になったから 私に家を持ってきた。 母が 「ヘンテコな家なんて貰っても困るって、昔にゆっておいたんだけどねぇ、」 頬に手をついて人事のように頭を傾げた 私が二十歳になるまでの家の管理手入れ税金やら 全てじじいが手配してあったそうな 「兄達も持て余していたからねえ、 いらん、やる。って」 ケラケラと笑いながらお茶を飲んでいる 「家?」と言ったきりなにも発していない私のことは完全に無視されて、 母とお客さんで話は進む。 私に遺産?と、いうのか? 家って、家でしょ? 何考えてんだ? 私は家主?イエーぃ、 な、訳ない!! 一人で過ごした幼少時代 これではマズいと思い中学生で友達作りに励み 失敗 遠方の高校に頑張って入学して再チャレンジ かろうじての女子高校生 毎日バレやしないかとスリリングに過ごし やっとの思いで大学生!これが普通って思って 大学ライフを満喫 就職難と言われるこのご時世 フツーの企業のフツーの事務員にやっとなれて 周りの友達を観察してみたら 彼氏とやらに皆うつつを抜かしている現実を知り 次の目標はカレシをつくる~ と、心にも無いこと宣言してきたのに、 駄目だよ。 皆と違ったら、またあの空気に包まれてしまう。 いや、本当は心地よい空間なんだけど、 一人で居るのも嫌いじゃないけど! 世間に戻るのがいやになってしまうよ?
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