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ここは「空」というものが存在しない世界・・・、
我々の住む地表の、
はるか下に拡がる、気の遠くなるほど広大な空間・・・。
光の届かない筈のその世界だが、
何故か辺りには上方からの弱々しい光が降り注いでいる・・・。
そこは宮殿・・・。
直径1メートル以上はありそうな、白い柱が無数に林立するその宮殿には壁がない。
屋根に相当する天井はあるが、四方は解放されていて、
遠方からでもその玉座を仰ぎ見ることができる。
まさに古代ギリシアの万神殿を思い起こさせる・・・。
そしてそこには威風堂々とした一人の大男が、
巨大で、これまた装飾性の高い石彫の椅子に、
どっかりと腰を落ち着けている・・・。
大男は、ひじ掛けに左肘をあてがい、手のひらで自らの顔を支えていた。
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