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…トオルの視線が気になって顔が熱くなって来た。
何だかいつもこんな顔を見られている気がする。
それから数分経った頃にやっと心を決めたオレは、ベッドの側に素早く近寄ってトオルの頬に唇を押し付けた。
唇にはどうしても無理だった。これがオレの限界だった。
「…これで良いんだろ」
自分でも呆れるくらい、無愛想で可愛げがない言い方しか出来ない。
トオルもそう思ってるかもしれない…さっきから何も言わないし。
トオルの反応が怖くて視線を落としていると、静かにベッドから下りたトオルが、少し強引にオレを抱き寄せた。
そして、ユウちゃん可愛ぇなぁ、とか言いながら本当に嬉しそうに破顔した。
ちなみに、好きな相手とはキスで仲直りする、というオレの勘違いはこの日から約半年後まで続く事になる。
オレがその間違いに気付いた時、トオルは一瞬しまった…という顔をした。
オレが勝手に勘違いしたのが悪いけど、間違いを訂正しなかったトオルにもイラついたオレは、笑いながら謝るトオルを追いかけ回して連打パンチを食らわせてやった。
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