ダシとしょうゆ

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トオルのこういう冗談もいつもの事だ。付き合う気になれず顔を逸らした。 トオルは昨年の夏に転校して来て、夏休みからこの寮に入った。その頃からずっとこんな感じ。 「暇やない?」 「なら出かければ?」 「ユウちゃんは?」 「留守番」 「ほな、ワイも留守番」 言うと思った。 留守番が必要ない事はトオルもわかってるのに。 「オレは相手しないから」 「え~」 おしゃべりなトオルといると自然と口数が増えるから、何だかペースを乱されている気がしてたまに胸がざわつく。 「そない言うとっても結局は相手してくれるんよな、ユウちゃんは」 「あのな…」 睨んで文句を言ってやろうと顔を上げると、思ったよりトオルの顔が近くて驚いた。 「可愛ぇよな」 話に脈絡がない。
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