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「どうした、吉岡? 凄い汗だぞ。ほら、スポーツドリンクでも飲めよ」
「ああ、ありが……」
またしても勢いよく手を引き戻す。こいつ、ドリンクを渡すと見せかけて手を握ろうとしやがった。間違いない。だって、あの目をしているから!
「凄い汗だぞ? 大丈夫か?」
待て、近づくな! 驚き過ぎて体が動かないんだ! 誰か、助けてくれ!
「あれっ、吉岡君?」
このタイミングで沙織が来たーーー!
もう、全てを終わらせてやる! 沙織に告白するんだ!
「沙織! 俺と付き合ってくれ!!!」
俺は沙織に向かって勢いよく手を差し出す。
「えっ、あっ、ご……ごめんなさい! 私が好きなのは岩田君です。岩田君、付き合って下さい!」
俺じゃなくて岩田に向かって手を伸ばした!
「沙織……すまない。俺は吉岡と付き合うんだ」
やっぱり俺を狙ってやがった! しかも、岩田の中では付き合う事になってる!?
俺は沙織に手を伸ばし、沙織は岩田に手を伸ばし、岩田は俺に手を伸ばす。こうして、一方通行で手を伸ばす奇妙なトライアングル(三角関係)が完成した。
俺達の青春は始まったばかりだ!
【完】
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