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お前の笑顔は気が抜ける、と大和(ヤマト)はよく言う。
「りりと。今日帰りアイス」
「え!奢ってくれるの?!」
「腹壊すから3つまでな」
「うわーん!やったぁ!」
馬鹿みたいにはしゃぐ俺を、うわーんて何だよ、と呆れながらも優しい目で見る大和のシャツの裾を握る。
買った店が違うのか、同じ学校の同じ制服のはずなのに生地が違う大和のシャツは何だか落ち着く肌触りだった。
あまり引っ張ると怒られてしまうから摘むだけにしておく。
にこにこして笑みが止まらない俺のほっぺたを、大和の大きな手がそっと触れた。
その手に甘えるように擦り寄ると、吐息で微かな笑い声が届いた。
確認しようと目線を上げたとき、誰かの両手が大和の首に回った。
「っおら!またお前らは自分たちの世界に入りおって!」
「シン、おはよう」
「おはよ、りったん」
大和の背後から顔を出したシンは、八重歯を覗かして雰囲気と重なる緩い笑みを浮かべた。
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