花火

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後夜祭が始まり、俺はあいつを探した。 さっきまで実行委員の彼女は雑用で忙しなく動き回っていたのを目の端に捉えながら常にチェックしていた。 それなのに、クラスの奴に話し掛けられてちょっと目を離したらすぐこれだ。 あいつはいつもちょろちょろとネズミみたいにすばしこく動き回る。 ……一体どこに行ったんだよ、もうすぐで始まるだろうが。 仕方無く本部席の方をうろついて、クラスのもう一人の実行委員を捕まえた。 「あ、さっき荷物運んでたから教室じゃないかな」 「サンキュー!」 礼を言うなり走り出した。 早く見つけないと、始まってしまう! 階段を一段飛ばしで駆け上る。 毎日部活で走り込んでいても、やっぱりグラウンドから全力で走ってその後の階段を一気には辛い。息を上げながらガラッと勢いよくドアを引き開けた。 「きゃっ」 窓辺で佇む彼女がドアを開けた音に驚いて肩をすくませながらゆっくりと振り向いた。 「……っびっくり、したぁ。……え?あれ?」 俺だと分かった途端に、幽霊でも見てるかのように見開いた目がしばたく。 「え?何で……どうして、ここに居るの?」 「何だよ、居ちゃ悪いのかよ」 「あ……いや、そういう訳じゃあ……でも」 何かを言い掛けたが、彼女の言葉を間近で上がった花火が遮った。 「お、丁度始まったか」 彼女の隣に立ち、窓枠に寄り掛かった。 彼女はまだ戸惑いがちに俺の横で立ち竦んでいた。
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