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「どれどれ───って!!!」
されどのような本を書いたのかと一冊手に取ったくれはは赤面した。
「さすがにこれはマズいって。即売会じゃないんだから」
「わかってはいましたけど……でもこれを載せないのは損じゃないですか」
「イヤイヤイヤ」
合同誌の先頭四ページにはちょっとした問題があった。一人の部員が描いた短編漫画なのだが、その内容がボーイズラブだったのだ、
しかもただのボーイズラブではなく濡れ場のある十八禁な内容を直接描かずに俯瞰的に匂わせることでギリギリ一般向けに納めていた。少女雑誌の性描写ならオーケーかもしれなくても、文化祭のブースで売るにしては問題がありすぎた。
「確かに良い出来だけど、ここで配布するのはアウトだって」
これはマズいとくれはが指摘しても部員達は引かない。
オフセット本なので取り返しがつかないのもあるし、TPOがマズいと言われても構わない面白さを持っているという自信もあってのことである。
彼らは意地になっていた。
そんなくれはらのやりとりを、読子に惹かれてやってきた客達はざわざわと眺める。
岡目八目と言うことなのだろうか。俯瞰していた読子は外で騒ぐ人だかりを見て妙案を思いついた。
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