本屋さん一肌脱ぐ

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「ケンカはそこまで。せっかくお客さんが外にいるんだし、それは勢いで売ってしまいましょう」  読子の提案はこうである。  読子が男性を分断することで、合同誌の存在を女性にだけ見せるのである。  男女を問わず不特定多数の異性に囲まれた状態では恥美なモノを楽しみ辛いのだから、逆に異性を排除してしまおうという作戦である。  さっそくカーテンで仕切りを作り、簡易的な相談室を読子は作った。 「お集まりの皆さん。知る人ぞ知る人魚姫の魔女によるお悩み相談はいかがですか? 相談希望の方は男女に分かれて、ここにお並びください」  読子の台本通りに形成された列は狙い通りに読子狙いの男性が多く並び、そこにカーテンと一部の女子が壁になって、漫研合同誌がある一角はちょっとした女性しかいない空間になった。  その中にまばらに居る女子達に向かって漫研部員達は合同誌をプレゼンし、その内容に興味を持った女子達は次第にそれを手の取り始めた。  内容は自信があったこともあろう。徐々に調子づいてきたことで売上は伸び、ついに今年の合同誌は完売した。  ついで買いで過去の本も売れはじめたこともあり、夕方の終了時間の頃になると部員達はホクホクとしていた。 「本屋さん。今日はありがとうございました」     
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