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とある場所で
「あまーーーーい!!」
ふわりふわりと宙を漂う男は、光り出していた本を読み終えると、嬉しそうに叫んだ。
「この二人はきっと幸せになるねー、ひゃーなんだよー、ヤキモチ妬かせて振り向かせるとかー、やってみたいねー」
色のついた三冊目の本が、本棚へしまわれた。
まだまだ白い本棚は、キラキラと太陽の光を浴びて輝いている。
飛び交う真っ白な本と戯れるように、男は、ただただ宙に浮かんでいる。
「今回出番なかったなー、そんなこともあるのかー、いやでも、後夜祭の噂は確か僕が……」
にやりと笑った男の視線の先に、また一冊の本が飛んで来る。
それはどこか淡く寂しい光。
「寂しい光り方するねー」
男の手に遠慮がちに降りてきた本が、ゆっくりと表紙を開いて見せた。
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