9人が本棚に入れています
本棚に追加
と言うか、校舎裏でなんて、どんな恋愛漫画の真似事よ。
視線の先には知った背中が見えかけて、思わず踵を返した。
ちゃんと告白できてるんだなー。
たくさんの感情を込めた溜息を吐き出して、来た道を戻る。
「先輩、末永くお幸せにね」
届くはずのない声は、賑やかな声にかき消され、見上げた先にある文化祭のマスコットキャラの笑顔が、こんな私を見つめてくれた。
そんな笑顔で見つめないでよーー。
泣いちゃうじゃないかーー。
たくさんの人混みの中、思わずそんなことを呟いたものだから、我慢し続けていた気持ちが視界を潤ませて、滴り落ちる。
何度目かの勝手な失恋に、こうして泣いたのは初めてだった。
早く、好きを消せたらいいのに。
乱暴に顔を拭いて、頭を振って、いつもの笑顔を浮かべて視線を上げた。
その先に。
最初のコメントを投稿しよう!