文化祭当日

5/9
前へ
/19ページ
次へ
「でも先輩には好きな人が……」  自分でもわかるくらいの震えた声が、たどたどしく言葉を吐き出す。  あれだけたくさんの女の人の話をしていたくせに?  あれだけたくさんの、好きを語っていたくせに?  私が好き……?  本当に……?  溢れ出す涙がまた、視界を揺らし、先輩をも揺らす。 「自分の気持ちに素直になれなくて……つい嘘話ばっかりしてしまって、ずるずるここまできてしまったんだ。でももう決心ついた! あーちゃんの、告白の練習のおかげ!」  そう言って先輩は、さらに花束を私の方へ差し出してくる。  告白の練習は、大好きな人のためにしてたんじゃなかったの?
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加