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久しぶりに会えても、あの旅行はひどく後悔しか残らなかった。そういうものも織り込んだ短編だったからこそ、書ききるのにひどく体力と精神力を要した。 ぜんぶが、私が体を壊すきっかけになった出来事に繋がっていくのだ。 実家の家庭環境も複雑だった。 子は鎹とはよくいったもので、三人兄弟の中でも専ら私はその一番重要な役割を果たしていた。両親も兄弟も愛しているのに、長時間過ごすにはひどく精神力を消耗する関係だった。その頃に、家族で海外旅行に一週間も行ったのが更に私に打撃を与える。 そうして、私に迫る彼らだ。 大切だと思ってきたお世話にもなってきた友人関係が一気に瓦解して、職場は居場所を失くした。というよりも、限界がき過ぎて生理的に受け付けなくて、無断欠勤する以外にできることがなかった。 ぜんぶ、私が壊した物ばかりがあの頃を埋め尽くす。 振り返りたくなくても、アルバムのように私の断片がそこかしこにある作品群なんて、怖くて読めるわけがなかったのだ。 けれど、やっと、自分で立てるようになってきた今だからこそ。読み返そうと思えるようになったのだ。一遍一遍が、まったく思い出せないような作品たち。私をそれでも、育ててきてくれた物たちを。 断たれたような友人関係は、タイミングを逃して今や戻らない溝ができてしまったけれど。彼らのお陰で、あの頃の私はギリギリのところで立っていられた。 私を追い詰めた、二回り近く歳の離れた二人も、関係を断つことで私は私を守れた。 遠い地に今もまだいる彼は、どうやら向こうで人の役に立つ仕事が順調にいっているのだというのを、ネットのニュースで知った。頑張っている彼の姿を見ただけで、こうまで私が元気をもらえるなんて思ってもみなかった。
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