気楽屋

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気楽屋

学校帰りに週に一度は立ち寄る所がある、商店街の外れにある小さな古本屋、気楽屋。 少しホコリっぽくて、煙草臭い。 店主のお爺さんが何時も煙草をふかしながら本を読んでいるから。 その店の中央にも両側の壁にも天井まである本棚には、ぎっしりと本が詰まっている。 店の奥にはカウンター代わりの古びた木製の小さな勉強机と座り心地良さそうな椅子。 足元には小さな冷蔵庫。 その上には電気ポットと湯呑と急須。 横の壁には、小さなトランジスターラジオが掛けてある。 商売気の無いお爺さんは、客が来ても何も言わず、ただ黒縁眼鏡を下げるようにしてチラリと見るだけだ。 俺は、まず漫画が置いてある棚をチェックする。 今では手に入らない様な昔の漫画、昭和四十年から六十年位の物。 そして、SFの洋書。 日本語に訳された物は言葉が硬いので、あまり好きではない。 あと、大正から昭和初期の物も探していた。 この三つの棚のチェックが終わると、後はダラダラと残りの棚を見てまわる。
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