84人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
ビッグデータ探偵
第1話 予測される世界
「先生!先生!!聞いてますか?」
彼女の声はいつも大きい。
「聞いてる。聞いてる。でなんだっけ??」
僕は問い返す。
「ほらぁ、やっぱりなにも聞いてないじゃないですか!!」
先生はいつもそうなんだから、とプンプン怒っている彼女。
「僕は君の先生じゃないよ。今はここのマネージャだろう。」
「ああ、部長でしたね!」
「いまどき部長という言い方もない気がするけど」
と、僕が正す。
そう僕はこの研究機関の部長だった。
僕らは犯罪捜査を特別にサポートする研究機関
「特別犯罪研究室」のメンバーだ。
僕は、大学の研究員。
ここに派遣されてきている。
彼女は元うちの大学の生徒。
文系だったと思う。
僕の授業を受けたことがあったらしい。
そして、いまは警察官だった。
僕らの立ち位置は、警察の手が及ばない犯罪の解決の手伝いをするというものだ。
最先端のコンピュータ技術を使って、犯罪を新しい角度から調査するというところだ。
僕のもともとのテーマは『ヒューマンコンピュータインタラクション』簡単に言うと、人とコンピュータをつなぐ研究だ。
この分野は幅広いんだけど、わかりやすい例でいうとこんなものがある。
最初のコメントを投稿しよう!