ビッグデータ探偵

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ビッグデータ探偵

第1話 予測される世界 「先生!先生!!聞いてますか?」 彼女の声はいつも大きい。 「聞いてる。聞いてる。でなんだっけ??」 僕は問い返す。 「ほらぁ、やっぱりなにも聞いてないじゃないですか!!」 先生はいつもそうなんだから、とプンプン怒っている彼女。 「僕は君の先生じゃないよ。今はここのマネージャだろう。」 「ああ、部長でしたね!」 「いまどき部長という言い方もない気がするけど」 と、僕が正す。 そう僕はこの研究機関の部長だった。 僕らは犯罪捜査を特別にサポートする研究機関 「特別犯罪研究室」のメンバーだ。 僕は、大学の研究員。 ここに派遣されてきている。 彼女は元うちの大学の生徒。 文系だったと思う。 僕の授業を受けたことがあったらしい。 そして、いまは警察官だった。 僕らの立ち位置は、警察の手が及ばない犯罪の解決の手伝いをするというものだ。 最先端のコンピュータ技術を使って、犯罪を新しい角度から調査するというところだ。 僕のもともとのテーマは『ヒューマンコンピュータインタラクション』簡単に言うと、人とコンピュータをつなぐ研究だ。 この分野は幅広いんだけど、わかりやすい例でいうとこんなものがある。     
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