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「かぐや、愚かな君に一つ、地球人代表として教えてあげるよ」
手元の煙草を携帯灰皿に押し付けて揉み消す。
吸っている時よりも盛大に紫煙が立ち上り、俺の視界に白い靄をかけていく。
「真実は道具に頼って見つけるものなんかじゃない。
己の目で見て観測し、思考と心で導き出すものだ」
ま、言ったところでこのお嬢さんには通じないと思うけど。
俺は一方的に対談を終わらせると、人気のない廊下を進み、さっさと屋敷の表に出た。
まるでそのタイミングをはかっていたかのように目の前に滑り込んできた星の紋章が入った車に乗り込み、何の未練もなく白亜の御殿を後にする。
「いっつもすいませんね、こんな山の中まで」
「いえ、大伴(おおとも)先生は我らが柏木(カシラギ)家の大切な宝です。
この一件に関しましても、元々は柏木側からの依頼であったと伺っております」
「いや? 研究室にこもってるだけじゃ得られなかった面白いデータも取れたし、この件に関しては俺も感謝してるよ。
柏木さん家用の報告書は、今日中に纏めて送っとくよ。
時に皇坊っちゃん元気?
ちょっと話したいことがあるもんで、電話貸してもらってもいい?」
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