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「そもそもかぐや、君は『真実』というものをどう定義するんだい?」
警戒の色を露わにするかぐやに向かって、俺はあの日から気にかかっていた疑問を口に出した。
「どこからどこまでが真実とやらで、嘘や偽りというものはどこからのことを言うのだろう?
ある人にとってはそれが真実でも、他の人から見れば同じものが嘘や偽りにも見える。
それを普遍的かつ、誰から見ても客観的だと言える基準で君は定義できるのかい?」
「……言っていることが分からないわ、先生」
彼女の無機質な瞳が、警戒の中にわずかな侮蔑を混ぜる。
かぐや、君は色々と油断しているみたいだね。
初めて直接対面した時からそうだった。
他の家庭教師達がいかにも良家の好青年を装う中、俺だけが茶髪にピアスのラフな姿で現れたから、4人の中で俺が一番頭の軽い人間なのだろうと、君は疑いなく信じてくれたね。
だからこそ、俺は思う存分君を観察することができたよ。
君のそんな愚かさに、俺は感謝さえしているんだ。
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