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「嘘にも色々な種類があるという話さ。
あるいは、口に出した当人は嘘とさえ思っていないことがあるということ。
自分を守るために故意に事実を歪めること、これは嘘だね。
相手を思って事実をそっと伏せること、これも場合によっては嘘になる。
君はその全てを『悪』だと言いきるのかい?」
「それでも、嘘はいけないものだわ。
嘘をつく人は、決して誠実には尽くしてくれないもの」
「なるほど?
君は相手に自分へ尽くすことを求めるばかりで、あくまで自分は尽くすことはない。
常に自分が上位者としての『結婚』という形を求めるつもりなんだね」
ヘラリとチャラく見せているのは、相手を観察しやすくするためのフェイク。
そのフェイクを被ったまま、俺は徐々に目の前のモルモットに向けて牙を剥いていく。
そっと、解剖用のメスを実験体にあてていくかのように。
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