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「先生。先生は私との結婚を望んでいるんでしょう?
それなのに、さっきからなんなの?
これが先生なりの愛の告白なら、先生こそ愛ってものをはき違えてるんじゃないの?」
そんな俺に対して、かぐやは分かりやすく顔色を変えた。
そりゃそうだ。
この小さな籠の中でジイジ、バアバ、それに家庭教師達の面々にこれでもかとばかりにチヤホヤされて育てられたこのお嬢様は、自分が求めて拒絶されることを知らない。
そして己は他人に求められてやまない存在なのだと信じて疑っていない。
だからひとまず、その過信を叩き割ることにした。
「むしろかぐや、君はここまで言われて、まだ俺が君のことを愛していて、結婚を望んでいるって本当に思ってんの?」
「え?」
キョトリと、かぐやが瞳を瞬かせる。
限りなく人間に近い反応。
限りなく人間に近い肉体。
だけどその全てが人間ではないのだと、俺の目は見抜いていしまう。
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