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 大きなカバンを肩から掛けたママと、古いおうちがたくさん並ぶ道を歩く。  ぼく達の他にも何組かの親子連れがいて、みんながあるおうちに向かっていった。  【古本や】  【本日、読み聞かせ会開催】  そう書かれた看板の立て掛けられた門を潜って、すぐ左の脇道に入る。  背の高い植物や木、小さな花壇のある庭に出て、その奥に小さなおうちが見えた。  真っ白い壁に四角の小窓、三角屋根のおうち。  "蔵"という昔の物置よ、とママが前に教えてくれた。  大きく開かれた扉から中に入ると、あたり一面本棚だらけ。  四台の大きな本棚を背中合わせにしたものが左右に二列並ぶだけでなく、壁も本棚で埋めつくされている。  勿論、その中は本でいっぱいだ。  棚には学校の図書館にも負けないくらい、いろんな本が詰まってる。  角がボロボロになるくらい古い本、分厚い本、英語の本、表紙にキレイな絵の描かれた本――とにかくなんでも!  ぼくがママと分かれてからまっ先に行くのは、お店の右奥にある棚。  そこの下から三段目までが絵本のコーナーだ。  今日は何を読もうかな?  今日は何を持っていこう?  車の本? それとも、勇者が出る本にしようか?  しかけのある本もいいかもしれない。  ああ、あれもこれもいいな。  ぼくは気に入った本を一冊取って、それを誰にも見られないように、両腕で抱き締めた。
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