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「はーい! 今から読み聞かせ会を始めまーす! みんなー、集まれー」
「るかおねえさんが本を読むぞー」
「店の奥に集まってー」
お店に、おねえちゃんやおにいさん達の声が響く。
すると、お店のあちこちにいた子達が、わあっと通路を駆け出した。
向かう先はお店の奥。
そこには、レジが載っている机が右奥の隅にあって、その脇のスペースには畳が二枚敷かれている。
畳の上では、絵本を持ったおねえちゃんが手招きをしてみんなを集めていた。
小さい子からぼくよりも大きな子まで、一緒になっておねえちゃんの周りに座る。
みんな、おねえちゃんが本を読むのが上手で面白いのを知ってるから、おねえちゃんのそばにいたいんだ。
ぼくは読み聞かせ会が終わったらすぐにお店を出るから、畳の端っこに座った。
「今日は、【あべこべの国の本屋さん】ってご本を読むよ」
そう言っておねえちゃんが、みんなに表紙を見せる。
色とりどりの魚や鳥が、ピンクの雲の海を泳ぎ、さざ波立った空を飛ぶ。
不思議な絵だけど、魚も鳥も楽しそう。
(あれ? でも――)
後ろの表紙の隅っこに、どんよりとした暗い色が見えた。
(本の行進と怪獣?)
いろんな本が列になって、真っ黒な怪獣の下に向かってる。
怪獣は牙だらけの大きな口を開けて、本達を待ち構えていた。
(あれはなんだろう)
おねえちゃんの手の陰になって見えないけれど、本の行列の上に何か乗っている。……横たわった大木?
(本達はなにを運んでいるんだろう)
これから一体どんな物語が始まるのか。
楽しみだけど、なんだか少しこわい。
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