snow

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思ったより暖冬だった今年の冬だったのに 2月に入り雪が降るとか降らないとか 天気予報ではここ何日か騒いでいる 「雪…降るのかな…」 窓から外を眺め 息白く 寒そうにしながら歩く人々 外はまだ五時半だと言うのに暗い 「綾乃 お疲れさま。そろそろお店clauseにしよっか」 「そうね」 閉店準備をしながら 他愛のない話をする 「よしっOK!今日は途中まで一緒に帰ろう」 「うん、久しぶりだね」 スポットライトだけにして外に出る 「寒っ…冬は苦手だわー」 身を縮ませ綾乃が言う 「寒いね」 鍵をかけ「いこっ」と声をかけ歩き始める 「迦純は相変わらず平気そう」 「そんな事ないよ。寒いよ」 「知ってるーだってスッゴい手とか冷たいもんねー」 そう言って私の手を握る 「手袋くらいしなさいよ」 「いつも忘れちゃうんだよね(笑)もう、年かしらー」 そんな冗談をいいながら歩く 「そういえば綾乃来月誕生日だね?」 「あーいわないでー」 「クスッおいくつになられるのでしょうか?綾乃さんは」 「知ってて聞くかなぁ」 ちょっと膨れっ面になる 「34だよ…」とため息混じり 「そんなに年をとりたくない?」 「やっぱり若い方がいいでしょう!迦純は年取りたいの?」 「んー…てか、あんまり長生きしたくないしなぁ(笑)」 「えーっダメだよ!70、80のおばあちゃんになって それでも二人でお茶しながら語り合うんだから!」 「そんな長生きしたいの?」 「迦純ぃあの頃は若かったねー。迦純は随分大きくなってから初恋をしてーって 昔話に花咲かせるんだからね」 始めの部分は年寄りっぽい言い方で 綾乃は何気に毒をはいてきた 「もーっ」 私が頬をぷぅッと膨らませて 怒ったふりをして ぷはッと息をはき笑う 二人して声を出して笑いながら歩いた 「由幸、もう車だしていいか?」 「あぁ…」
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