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影鬼
「宮本さーん、居るんでしょお~?あけてくださいよぉ~。」
執拗にチャイムは鳴らし続けられる。
俺は恐怖で部屋の隅っこで震えていた。
テレビCMでも有名な消費者金融で、クリーンなイメージを抱いており、正直、返済の遅れなどなんとかなると思っていた。金が無いから借りるのであって、地道な生活をしていれば金を借りることもなかっただろう。
競輪競馬パチンコ。稼いだ金はほとんど、こういったギャンブルに溶かしていた。
今思えば愚かな行為だ。前の職場にギャンブル好きな同僚がおり、つい誘われるがままについて行ったら、自分がハマっていった。最後には、誘った本人が心配して、たいがいにしときぃや?なんて注意を促される有様。
俺はギャンブルのために借金を重ねた。最初は同僚から。あまりにも金の無心をしてくるので、気がついた時には、周りから誰も居なくなっていた。俺には莫大な借金だけが残り、やむなく消費者金融に金を借りたものの、友人への借金の返済に充てるでもなく、俺はまたそれを軍資金にしてしまった。俺の無責任さに職場の人間はあきれ果て、とうとう俺は逃げるようにその会社を辞めざるを得なかった。
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