第一章

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相変わらず、ちゃっちゃとした動きで昼飯の準備をしている。 姉は俺よりも二つ上だか、いつも俺の方が上に見られる。 多分、俺は俺で身なりにあまり気を使う性格ではないため、髪はボサボサ、服もシワがあろうが気にせずそのまま、動作も常に気怠げなのが老けて見えてしまうのだろう。 そんな俺とは対照的に姉は髪から服までピシッとし、動作も機敏で、背筋もピンとしていて、ぱっと見若々しい。 もうすっかり、昼飯の準備ができたテーブルの定位置に座る。 「いただきます」 「はい、はい、召し上がれ」 姉も向かいの椅子に座り、いただきますと手を合わせ、サラダに箸をのばしていく。 俺も氷が乗せられ、よく冷えていそうなそうめんを箸でつまみ、麺つゆをたっぷりと付けて、ズルズルと音を立てて食べ始める。 「もうすっかり、夏の陽気ね。 庭仕事してて暑かったでしょう、熱中症とかなってない? 具合が悪くなったらすぐに休みなさいね」 「姉さん、俺ももう、じいさんの歳だぜ? そんな子供に言い聞かせるようなこと、言わなくっても分かってるよ」 「あんたはいい加減な性格だから、なんでも適当にしちゃうじゃない、だから、心配になっちゃって、あれこれ言いたくなっちゃうのよね」     
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