第一章

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姉は早口気味にそう捲し立ててくるから参る。 そうなると俺は元来、口下手な方だし、どうにも面倒になってきて、姉の意見に「ハイハイ」と相づちを打って済ませてしまう。 「あっ、そうそう。 お姉ちゃんの知り合いの息子さんがこの辺りで部屋探ししててね、丁度あんたの部屋の隣り一○ニ号室、空室だったでしょ? おすすめしたら入居が決まったの」 「へぇ」 「二十歳の大学生ですって、久々の若い入居者さんよ」 若い奴か、別に誰が入居しようが俺がどうこう言える立場じゃないが、とりあえず騒音やら入居者同士の揉め事を起こさない奴なら構わない。 「でね、明日あいさつに来るっていうから、色々教えてあげてね」 「あぁ、分かったよ」 姉の話を聞きながら、黙々と昼飯を平らげ「ごちそうさん」と一言だけ言い、胸ポケットに入れている煙草を取り出し、食後の一服を 吸い始める。 「あんた、いい加減に煙草止めたら?身体に悪いわよ」 姉は俺が煙草を吸う度に眉間にシワを寄せ、身体に悪いと小言を言ってくる。 「それに明日くる、あっ名前ね、日向 瞬くんっていうのよ。少し身体が弱いっていうから、あんまり目の前で煙草吸ったりしないで、気遣ってあげてよね」 しかし、こればかりは、身体を壊そうが、世間が禁煙一色になろうとも止められない。     
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