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そんなふうに受けとってもらえるのだったら京香も本望だろう。 環和からはまったくそうは見えない。 いい子ぶって演じているだけだ。 両親の話が出たり、初対面の男に散々ばかにされたり、今日はついてない。 「きれいだとかセクシーだとか、そういう人って自信満々でお得な人生ですね」 自分でも子供っぽいとわかっていながら、環和は止められなかった。 「きみの云うことはジェラシーにしか聞こえないな」 「芸能界と繋がりのあるカメラマンだからって、上から目線ですか。あの女記者もそうだけど。きれいに撮れたってあたりまえですよ。きれいな人を撮ってるんだから」 環和が云い放ったとたん、空気がぴりっと張りつめたのは気のせいか。 安西の眼差しが、鋭く射貫くように環和を見つめる。
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