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云いすぎたのは、云ってしまってから気づいた。 環和だって、ファッションが好きでアパレルメーカーへの就職に至ったけれど、そのぶんプライドはある。 いまの発言は、カメラの技術など大したことないと、安西のプライドをまったく虚仮(こけ)にしたのだ。 「すみ――」  ――ません、と云おうとした言葉は最後まで発することはできなかった。 「ひねくれてるな」 ああ云えばこう云うし、頭は悪そうじゃないけど――と安西は続けながら、限界じゃないかと思うところまで口を歪めた。 「自分がよほど嫌いらしい。おれに撮られてみる? その気になったらスタジオ・ラハザで検索してみたらいい」
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