825人が本棚に入れています
本棚に追加
気に障ったことは確かだったのに、からかうような安西の云い方は完全に感情を抑制した証拠だ。
安西は大人ぶっている。
そんなふうに思うのは環和がひねくれている証拠で、人から云われなくてもわかっている。
それに、撮られてみる? などという云い方は誘惑じみていて、まず環和の同級生はそんな云い方はできない。
冗談なのか本気なのか。
いや、本気だったら名刺を渡せばすむ。
ということは、声音と同様、環和はからかわれたのだ。
「安西さん、ちょっといいですか」
会話の合間を狙ったように、スタッフが安西を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!