1.

21/24
前へ
/820ページ
次へ
気に障ったことは確かだったのに、からかうような安西の云い方は完全に感情を抑制した証拠だ。 安西は大人ぶっている。 そんなふうに思うのは環和がひねくれている証拠で、人から云われなくてもわかっている。 それに、撮られてみる? などという云い方は誘惑じみていて、まず環和の同級生はそんな云い方はできない。 冗談なのか本気なのか。 いや、本気だったら名刺を渡せばすむ。 ということは、声音と同様、環和はからかわれたのだ。 「安西さん、ちょっといいですか」 会話の合間を狙ったように、スタッフが安西を呼んだ。
/820ページ

最初のコメントを投稿しよう!

825人が本棚に入れています
本棚に追加