イベリス

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私たちが生まれ育った地域は田舎だ。 いや、山本くんは学生時代をすごしただけかもしれないけど。 少なくとも私と晴人は、あそこで生まれて、あそこで育った。 ほとんどの同級生が、地元の高校に進学して、実家のあとを継ぐ。 それは、今の時代、大学に行く子もいるけれど、それでも実家から通える大学に通って、やっぱり実家のあとを継ぐか、地元で就職する。 たまに、実家をでて下宿して大学に通う子もいるし、私や晴人みたいに実家をでて就職する子もいるにはいるけどね。 聡史は、実家をでて下宿して大学に通って。 こっちの企業に就職した。 だけど、聡史は、お姉さんがいるけど長男だ。 聡史の実家は、農家だし、帰っても不思議はない。 いや、むしろそれが普通なのかもしれない。 「...奏子は相変わらずなの?」 心配そうに晴人が言う通り。 晴人も聡史も私も。 みんな彼女を心配している。
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