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奏子のお父さんは優しいお父さんだけど。
その分、お母さんは昔から厳しい人だった。
幼い頃から、みんなで遊んでいても先に帰る奏子。
中学生になると、家庭教師がついていた。
そんな奏子の初めての反発だったのかもしれない。
だって、素直に実家に帰ったとしても。
奏子のお母さんは、絶対にYOSHIのことを認めてくれないだろうし。
YOSHIだって、旅館の後継になる気なんてないだろう。
実家に帰ったら、２人の未来はない。
結果、奏子には家出しかなかったんだと思う。
みんな奏子のことを心配している。
私も、晴人も、聡史も。
だけど、YOSHIと幸せそうな奏子に、誰も実家に戻れとは言えない。
「そっか。永山くんと三崎川さんもこっちにいたんだね」
ちょっと待って。
山本くん、私のことは覚えてなかったのに。
聡史のことも、奏子のことも覚えてたの？
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