キク

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10分の休憩。 隣の布川くんは誰とも話していない。 ここは...何か話しかけるべき? 「あの...△△製作会社なら、湯川 智琉(ユカワサトル)課長さん、ご存知ですか?」 湯川課長は、よくうちに寄ってくれる管理課長さん。 優しくていつも笑顔のいい人だ。 「...知ってますけど」 布川くんは、こっちも見ることなくボソリとそう言った。 あれ...? 話しかけられたくない感じだった? 「湯川課長さんにはお世話になってるんですよ」 これでやめとこう。 無理に話をすることない。 話したくない人に話しかけても迷惑なだけだしね。 「あの、良かったら飴いかがですか?」 その時。 後ろの席の若い女の子が布川くんに話しかけた。 「ありがとう」 えぇ?! 驚きのあまり声が出そうだったのは... 布川くんが笑顔で飴を受け取ったから。
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