イベリス

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《佐伯 七海》 えっと... きれい...? それ、私のこと...? いや、それより... 昔から...? 私のこと、覚えていないんだよね? 晴人のことも、聡史のことも、奏子のことも覚えてたのに。 ふと、前を見ると... 赤くなる山本くん。 え...? あの山本くんが赤くなってる...? いつも表情も顔色もかえない冷静な山本くんが?! 「...ごめん、覚えてる」 え、何が。 「...佐伯さんのこと、覚えてるよ」 えっと... 私のショックをかえしてよ!! じゃなくて。 なんで、忘れたふりなんかしたの? 「図書委員だったことも、字がきれいだったことも、バナナが嫌いだったことも、体育祭で転んじゃったことも」 ちょ、ちょっと!! 確かに1年生前期、図書委員だったし。 書道をならっていたから、それなりに字はきれいだったかもしれないし。 バナナは嫌いだったし。 体育祭でも転んだけれど。
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