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「お母さんに言ったんですか?」
湯川にそう聞かれて。
「言ったよ…友紀に余計なこと言うのは辞めてくれって。友紀にも、不妊治療一緒に頑張ろうって言ったし」
思わずため息をつく。
「母さんは、俺には悪かったと言ってくれたし、その後は何も言わなくなったよ。でも…友紀になんて言ってるかはわからない。友紀ももう何も俺には言わないんだ」
何でも言ってくれたらいいのに、俺に。
母さんには悪いけど、母さんか友紀どちらか選ばなければいけない立場にたったら、友紀を選ぶ。
それくらいの覚悟があるのに。
「大丈夫ですよ、間宮次長」
小嶋さんが優しくそう言って。
「きっと奥さんはわかってくれてるんですよ。だから、何も言わないんじゃないですか?間宮次長に」
なんだか少し癒される。
だから、言ってしまった。
言わないつもりだったのに。
「友紀…多分好きな男がいるんだ」
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