ホオズキ

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チュッ 何か柔らかいものが唇に当たる。 「こ、小嶋さん?」 い、今… 「ふふふ。間宮次長も不倫、しちゃいます?」 イタズラに笑ってそう言う小嶋さん。 「し、しないよ!!」 何、考えてるんだ、この子!! もともと、小嶋さんは湯川のことを好きなんだと思ってたんだ。 だから、今日、ここに来たんだと思ってたんだ。 湯川は優しいし、いい男だし、独身だし。 それなのに… 何、考えてるんだ、この子!! 「残念。あ、間宮次長、ついてますよ、グロス」 そう言われて慌てて口を手で擦ると… 手の甲がキラキラと光る。 「お待たせしました。いやー、参りましたよー、前のお客さんトイレの中に寝てるんですもん」 湯川がそう言いながら戻ってくるけど。 俺は湯川の顔もなんとなく見れない。 「そ、そっか。大変だったな。…そろそろ帰るか」
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