ホオズキ

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あれは、浮気じゃない。 ただの事故だ。 一方的な皮膚接触。 ただ、それだけだ。 その証拠に、俺は小嶋さんにドキドキなんてしなかった。 いや、正直、小嶋さんじたいには、ドキドキしていた。 だって、それは、小嶋さんを魅力的な女性だと思ったから。 だけど、一方的にされたキスには、ドキドキなんてしなかった。 むしろ、嫌悪感すら感じたくらいだ。 「ただいまー」 それなのに、なぜだろう? 「おかえり。湯川さんとご飯も食べてきたんだよね?」 友紀にそう言われて、なぜだかドキッとした。 悪いことは何もしてない。 それなのに、この罪悪感はなんだろう。 いや、一方的だとはいえ、友紀以外の女性とキスをしてしまったんだ。 悪いことしていないなんてことないのかもしれない。 「あ、ああ。食べてきたよ」 これが逆だったら。 友紀が一方的だとしても、誰かと… そんなこと、考えたくもない。
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