ホオズキ

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「お座りください」 残念ですが… 何度と言われたその言葉。 今回もそう言われると思った。 「おめでとうございます」 でも、先生から言われた言葉は思っていたものとは違っていて。 「え…」 俺も友紀も言葉を失う。 「着床しています。まだ心音は確認できないので安心はできませんが…」 説明を続ける先生に、ついていけない俺と友紀。 いや、嬉しいんだよ。 念願の子供ができたんだ、俺と友紀の子供だ、とても嬉しい。 だけど、ついていけない。 「友紀、ありがとう」 病院から出て。 でも、まだ実感はあまりなくて。 「まだ…お義母さんには言わないでほしいんだ…ほら、まだ何か起きないとは言えない時期だって先生も言っていたし」 もちろんそうするつもりだ。 だいたい母さんにはこれ以上口出しされたくない。 「うん、わかってるよ、大丈夫だから」
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