ホオズキ

26/34
前へ
/1023ページ
次へ
会社で言ったのは、湯川が最初だった。 安定期に入ったらすぐ、だけど、会社のみんなにはまだ内緒にしてほしいと言った。 だけど、7ヶ月に入った頃。 友紀の体調が思わしくないことが続いて。 いつでも休みをもらえるようにと、上司に報告した。 その頃からかな…。 たまに会社でおめでとうございますと言われるようになったのは。 だから、いつ小嶋さんの耳に入ってもおかしくなかった。 「そうだよ。だから、離れてくれるかな?」 まさか、こんなことされるとは思ってなかったけど。 でも、それでも男と女だ。 何かあれば押しのけてでも出ていけばいい。 そう思っていた俺が甘かったらしい。 「ねぇ、間宮次長。私、間宮次長のことが好きなんです」 押しのけてもまた抱きついてきて。 「ここで私が叫んだらどうなりますかね?身重の奥さんに相手してもらえないから会社の女の子に手を出したなんて思われちゃうかも」
/1023ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加