ベゴニア

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それからは、お互い会わずに成長したから。 私も大我もお互いにお互いのことをほとんど知らずに成長した。 そして、高校生になって。 入学式。 同じクラスになった大我と、昔会ったことがあるなんて、思いもしなくて。 ただ入学式から帰って、お母さんが… 「ねぇ、和泉!!桜がいたのよ!!今年こっちに戻ってきたらしくて!!!ほら、覚えてるでしょ、大我くん。あんたと同じクラスなのよ、大我くん」 興奮気味にそう言ってきて。 「あぁ、うん、まぁ、覚えてるよ、名前くらいは」 5歳の頃の記憶なんてそんなものだ。 お母さんの友達の子供と遊んだような気はするけど。 それ以外のことなんて何も覚えてない。 「もう、冷たいわね、和泉!!また、桜と一緒なんて嬉しいわー」 そんなこと言われても… 覚えてないものは覚えてないんだから仕方ない。 そう思っていた、その時は。
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