イベリス

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「あのな、言っとくけど、どんな相手だって、何考えてるかなんてわかんないんだからな。自分じゃないんだから、わかるわけないんだよ」 ...まぁ、それはそうかもしれないけれど。 「...俺だって。わからないだろ?何考えてるか」 いや、わかるよ。 少なくとも、山本くんよりは、わかるよ。 「可愛い女の子いないかなーとか。うまいもん食べたいなーとか。考えてるんでしょ、晴人は」 一瞬、俯いて。 「ばぁか」 そう笑った晴人。 一瞬、何か考えていそうだったけど。 ...やっぱり、晴人は晴人だ。 山本くんが晴人みたいにわかりやすかったらいいのに。 ...そしたら、好きになってないか。 そう、私は今、再び山本くんのことを好きになってしまっている。 「...大丈夫だよ、七海。あいつは...健志くんは俺みたいにいい奴じゃないから。好きでもなんでもない女に優しくなんてしないよ。だから、大丈夫」
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