183人が本棚に入れています
本棚に追加
/1023ページ
いいタイミングなのか悪いタイミングなのか。
華子姉ちゃんからの電話。
「もしもし?奏子?」
どうしよう、弱音はきそう。
芳樹と付き合うと決めたとき。
私は決めたんだ、絶対に弱音をはかないって。
芳樹が浮気しようが、約束やぶられようが。
私が望んでそこに入ったんだから。
だから、絶対に弱音をはかない、そう決めた。
例えそれが華子姉ちゃん相手でも。
「もしもし?奏子、泣いてるの?」
そっか。
私、泣いてるんだ。
華子姉ちゃんに言われるまで気が付かなかった…。
「どうしたのよ、奏子!!」
私、耐えてきたよ。
今まで、耐えてきたよ。
何されたとしても、芳樹がいなくなることに比べれば全然平気だった。
「…平気だよ、奏子姉ちゃん…」
嘘。
全然、平気じゃない。
今度こそ、芳樹がいなくなっちゃうかもしれない。
それだけは、耐えられない。
最初のコメントを投稿しよう!