カキツバタ2

3/23
183人が本棚に入れています
本棚に追加
/1023ページ
いいタイミングなのか悪いタイミングなのか。 華子姉ちゃんからの電話。 「もしもし?奏子?」 どうしよう、弱音はきそう。 芳樹と付き合うと決めたとき。 私は決めたんだ、絶対に弱音をはかないって。 芳樹が浮気しようが、約束やぶられようが。 私が望んでそこに入ったんだから。 だから、絶対に弱音をはかない、そう決めた。 例えそれが華子姉ちゃん相手でも。 「もしもし?奏子、泣いてるの?」 そっか。 私、泣いてるんだ。 華子姉ちゃんに言われるまで気が付かなかった…。 「どうしたのよ、奏子!!」 私、耐えてきたよ。 今まで、耐えてきたよ。 何されたとしても、芳樹がいなくなることに比べれば全然平気だった。 「…平気だよ、奏子姉ちゃん…」 嘘。 全然、平気じゃない。 今度こそ、芳樹がいなくなっちゃうかもしれない。 それだけは、耐えられない。
/1023ページ

最初のコメントを投稿しよう!