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5時5分前。
芳樹から送られてきたホテルの部屋の前についた。
トントン
ノックをしたけど。
芳樹から返事はない。
トントン
「わぁー、ちょ、待って、奏子!!ちょっとだけそこで待ってて!!」
何度目かのノックのあと。
慌てたような芳樹の声がして。
嫌なことが頭をよぎる。
もしかしたら、この中にあの女の人がいたりする?
あのジュエリーショップから芳樹と出てきたきれいな女の人。
その人を今隠してたりするんじゃないだろうか。
別にこんなこと、今までにだってあったこと。
芳樹の部屋に行ったら、他の女の人が半裸だったことなんて何回か体験している。
そう、今さらじゃない、大丈夫。
それなのに、あの光景を見たからなのか、強気になれない。
「…おまたせ」
…どうしてだろう。
慌てて出てきた芳樹の顔を、真っ直ぐに見ることができない。
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