カキツバタ2

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5時5分前。 芳樹から送られてきたホテルの部屋の前についた。 トントン ノックをしたけど。 芳樹から返事はない。 トントン 「わぁー、ちょ、待って、奏子!!ちょっとだけそこで待ってて!!」 何度目かのノックのあと。 慌てたような芳樹の声がして。 嫌なことが頭をよぎる。 もしかしたら、この中にあの女の人がいたりする? あのジュエリーショップから芳樹と出てきたきれいな女の人。 その人を今隠してたりするんじゃないだろうか。 別にこんなこと、今までにだってあったこと。 芳樹の部屋に行ったら、他の女の人が半裸だったことなんて何回か体験している。 そう、今さらじゃない、大丈夫。 それなのに、あの光景を見たからなのか、強気になれない。 「…おまたせ」 …どうしてだろう。 慌てて出てきた芳樹の顔を、真っ直ぐに見ることができない。
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