184人が本棚に入れています
本棚に追加
「誕生日おめでとう、奏子」
ホテルの部屋の中に入ると。
そこには信じられない光景が広がっていた。
「…これって」
そこには、もちろんあの女の人はいなくて。
「奏子、好きだろ、ローストビーフ」
うん、好きだけど。
テーブルの上には大好きなローストビーフを中心にいろいろなご馳走が並んでいて。
「花なんてもらったことしかないから、何がいいかわからないから、無難にバラで悪いけど」
テーブルの隣にあるでっかい花束。
もらったことしかないってイヤミな男の人だな、芳樹って。
だけど、悔しいけどめちゃくちゃ似合うね、バラの花束が。
そこら辺の女の人より似合うよ、芳樹。
「食後にはケーキも買ってあるからね」
これは、夢でも見てるんだろうか。
それとも、この人は芳樹の仮面をかぶった他の誰かなんだろうか。
「どうしたの、芳樹…なんなの、これ…」
最初のコメントを投稿しよう!