カキツバタ2

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「誕生日おめでとう、奏子」 ホテルの部屋の中に入ると。 そこには信じられない光景が広がっていた。 「…これって」 そこには、もちろんあの女の人はいなくて。 「奏子、好きだろ、ローストビーフ」 うん、好きだけど。 テーブルの上には大好きなローストビーフを中心にいろいろなご馳走が並んでいて。 「花なんてもらったことしかないから、何がいいかわからないから、無難にバラで悪いけど」 テーブルの隣にあるでっかい花束。 もらったことしかないってイヤミな男の人だな、芳樹って。 だけど、悔しいけどめちゃくちゃ似合うね、バラの花束が。 そこら辺の女の人より似合うよ、芳樹。 「食後にはケーキも買ってあるからね」 これは、夢でも見てるんだろうか。 それとも、この人は芳樹の仮面をかぶった他の誰かなんだろうか。 「どうしたの、芳樹…なんなの、これ…」
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