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「今まで、奏子のこと、いっぱい泣かせたと思う」
真っ直ぐとこちらを見てそう言ってくれる芳樹。
芳樹のこの真っ直ぐな目が私はとても好き。
ライブのとき、ステージの上でしている目と同じ目。
「それなのに、一緒にいてくれてありがとう、奏子」
首を横にふる。
違うよ、一緒にいてくれてありがとうは、私のセリフだよ。
私は芳樹と一緒にいれるなら、それだけで幸せだったんだから。
「俺もさ、もう大人になることにしたんだ。今さらで悪いんだけど」
…それって…
「これからは、奏子だけを見る。だから、これからも、俺の隣にいてくれませんか?」
夢でも見てるのだろうか。
「奏子、返事は?」
断られることなんて考えてもいないであろうこの発言は、間違いなく芳樹だ。
そう、この人は芳樹なんだ。
「はい」
もう、夢なら夢でいい。
お願いだから、覚めないで。
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