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「華子、いつか結婚してください」
そんなバカげたプロポーズを彼氏の弘にされたのは、2ヶ月前のこと。
そう、傍から聞いたらバカげたプロポーズだったと思うけど。
私には十分だった。
「…はい」
弘の仕事はバンドマン。
人気がお金になる仕事。
結婚なんて、弘にはもちろんのことメンバーやマネージャー、関係者の人達みんなに迷惑をかける。
だから、今は無理。
わかっているから、それで十分だった。
「ごめんな、華子」
だから、謝らないで、弘。
私は弘が隣にいてくれるだけで、十分なんだから。
「ううん、いいんだよ、待ってるからね、弘」
そう、いつか誰にも文句を言われなくなったら。
その時は弘のお嫁さんになるんだからね。
そう、誰にも。
うん、誰にも。
それには、とてつもなく高い壁がある。
それが、潤さんだ。
マネージャーの潤さん。
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