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俺はマナと離れるのは無理だ。 マナがバイトを増やして一緒にいる時間が減っただけで実は少し不満だ。 でもそんなワガママは言わない。 マナだって何か目的があってバイトを増やしたんだし、西野や本間に比べたら一緒の家に暮らしてるだけでも幸せな事だから。 自分でも知らなかった。 俺は結構、器が小さい。 面倒見がいいとか周りから言われたりしたけど、マナの事になると余裕なんかなくなってしまう。 人を好きになって、付き合うようになって、こんな風に自分が変わるなんて思わなかった。 「あー、そろそろ行かなきゃ」 壁にかかる時計を見て、マナがため息をつく。 そんなマナの頭をポンポンとすると、頬を擦り寄せてきたから擽ったくて恥ずかしくなる。 「居酒屋だっけ?」 掛け持ちしてる居酒屋のバイト先は夕方から。 忙しい店らしく、帰宅する頃にはクタクタになっている。 「ん、行ってくる」
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