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名残惜しそうにゆっくり離れていくマナを玄関まで見送る。 「行ってきます」と笑顔を見せて俺の額に軽くキスをするのがいつもの見送りの儀式。 正直な話、めちゃくちゃ恥ずかしいし慣れない行為だけど、それでマナが頑張れるなら額でも顎でも喜んで差し出そう。 一人になった部屋は静かで網戸にしていたベランダの窓から湿気を含んだ風が入ってきた。 今年の夏も暑くなりそうだ。 マナのバイトが休みならまた花火でも見に行きたいな。 あの時とは違う関係で見る花火はきっと綺麗なはずだ。 マナに初めて自分の気持ちを伝えた時の事を思い出したら、少しだけ切なくなった。 今のこの幸せな毎日がいつまでも続くようにそっと祈った。
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