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prologue
ドコッ バキッ
殴っても殴っても頭の中を占める言葉が今日も俺を苦しめる。
くっそ、何だよホントに。
現実逃避ってばかりに殴って蹴って。
それでいて気が晴れねーんだから糞ったれもいいところ。
誰だよ、喧嘩は楽しいとかほざきやがったのは。
俺の頭ん中が糞すぎるからか。
糞には喧嘩の楽しさは理解できませんってか。
どうして自分がこんなに苛々してんのかも分かんねーのに・・・・・・いや、分かってはいるのか。
ただ認めたくないだけだから、ま、別に大したことじゃねーんだけど。
夜11時、こんな時間に繁華街なんてたいそうな場所にいるのは喧嘩して憂さを晴らしてーからってだけ。
中2の冬、俺は正に喧嘩に明け暮れるってやつを堪能していた。
負けなしって噂が流れだしたのはこの頃だったっけ。
いや、仕方ねーだろ。
俺が手え出した野郎どもはみんな弱かったからよ。
最近は喧嘩にも退屈してきてもういーかなって思ってたのに、狙っていたかのように大人数を引き連れて俺に喧嘩を吹っかけてくる奴らが増えてしまった。
ああ、めんどくせーったらねえ。
なんて思っていた俺に、後ろから何かが近づいてくる気配を感じた。
振り返ってみようかとも思ったがそれはそれで楽しくない。
興が冷めるってもんだ。
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