ともに生きる

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「なぁ、前にも言ったと思うが……雪解けまでにはここのセキュリティをなんとかしろよ。いくらおまえの鼻が猟犬並みにきくといっても、ひとりでできることには限度がある」 「わかってる。ただ、フユを閉じ込めてしまうような環境にはしたくない」  メイソン・ハーヴェイは姿をくらませていた。第一級指名手配の対象となった今も捕まったという報せはない。  本来ならユーリたちは中央シティに住むのがいちばん得策ではあったのだ。  それでも――。 「できる限りの最善を尽くすさ」  キースが肩をすくめた。その手が、かつてのようにユーリの頭を撫でる。 「ほら、姫さんの機嫌を取ってきてやれよ」  にやにやと廊下を指したキースの腹に軽く拳を入れた。キースが大げさにうずくまる。今なら見えてない。ユーリはその情けない姿勢に直角の礼をした。 「邪魔するなよ」  冗談めかして釘を刺すと、ユーリはキースを置いて部屋をでた。  ひんやりとした廊下を進み、寝室へと向かう。 「フユ?」  明かりを消した室内で、ベッドがこんもりと盛り上がっている。  シーツの山がごそごそと動いた。 「ユーリ……あのさ……」  窓からは月明かりが差し込んでいる。逆光になったフユはどんな顔をしているのか見えなかった。 「その……よかったのかな……?」 「なにが?」 「その……俺もタチバナって……」  語尾がどんどんか細くなった。今は二人だけだ。     
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