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「ボビーって、フランス人ぽくないよね。
髪も黒くてドレッドだし。
ジャマイカとかでレゲエダンスとかやってそう」
「ボクノおかーさん、ブラジル人。
リオのカーニバルみにキテたおトーさんと出会っテ、ボクうまレました」
「フランス人とブラジル美女のカップルかあ。なんかすごそう」
「吉澤君、あんまり下世話な想像するものじゃないよ」
「あんたがね、タカーた」
明日香さんは、なぜかいつも高田さんに突っかかる。
相性が悪いように見えて、本当は逆なのかもしれない。
イギリスの老紳士のように
痩せて背の高い高田さんと、
モデルのようにスレンダーでスタイルのいい明日香さんは、
年齢差があるけどお似合いだと思う。
もちろん、そんなことを言ったら
殺されかねないので
口には出さないけど。
あ、わたし、もう死んでるか…
「……だから……ボビーは……なんだって!
凛ちゃん、聞いてる?」
「ごめんなさい。全然聞いてませんでした」
「も~。ごめんねボビー。凛ちゃん、おとなしそうに見えて、頭の中8割くらいトリップしてるから」
吉澤君の話によると、
ボビーさんは自分の死因を知らないらしい。
それどころか死の前後の状況も、
自分がなぜ日本にいて、
どんな暮らしをしていたかも
思い出すことができないそうだ。
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